軽貨物配送業を始めるにあたり、多くの人は軽貨物配送会社に所属する傾向があります。
もちろん、それ以外にもスマホアプリでのギグワークや自分で仕事を直受けする人も存在しますが、やはり初めての人には軽貨物配送会社に所属する事をおすすめします。
その理由は1~10まで全く知識が無くてもフォローしてもらえるからです。
私も軽貨物配送のデビュー当初は軽貨物配送会社に所属して業務委託の仕事をしておりました。
だからこそ軽貨物配送会社に所属するメリットもデメリットもよく知っております。
それらを理解した上で軽貨物配送会社に所属するか、それ以外の方法にするかの判断基準として頂ければ幸いです。
軽貨物配送会社に所属するとは?
軽貨物配送会社に所属する事で、自分で営業して仕事を取らなくても仕事をまわしてもらえます。
要するに派遣会社みたいなものですので、そこには通称ピンハネと言われる中間マージンも発生します。
✅ 仕事がもらえる
ピンハネされるの分っていながら所属する理由は、自分で仕事が取れないからです。
仕組みは芸能事務所
軽貨物配送会社に所属するという行為は、分かりやすく言えば芸能人が芸能事務所に所属して仕事をもらうようなイメージです。
芸能人も最初から個人で活動しても中々仕事が取れませんが、芸能事務所に所属する事で仕事をまわしてもらえます。
そこで当然発生するのがピンハネで、それは事務所によって割合が違います。
軽貨物配送の個人事業主が、軽貨物配送会社に所属する行為はそれと同じ仕組みです。
しかし芸能界との大きな違いは、御法度の闇営業が軽貨物配送業の場合はOKという点です。
仕事がもらえる
軽貨物車両1台で手軽に誰でも開業できるのが軽貨物配送業ですが、所詮は個人事業主です。
そういう立場で配送の仕事を取る為には営業力の他に信用と実績が無ければ中々取れるものではありません。
しかし軽貨物配送会社に所属していれば仕事を斡旋してくれます。
もちろんピンハネは発生しますが、初心者にとっては所属するメリットの方が多いのも現実です。
しばらくは、所属して業界を知ってから次の展開を考えるのが理想でしょう。
軽貨物配送会社に所属するメリット
初めて軽貨物配送の仕事を始める人にとっては軽貨物配送会社に所属するメリットがたくさんあります。
そして所属する事で良くも悪くも業界の色々な事が分かってきます。
✅ 手ぶらで参入出来る
✅ 嫌なら仕事を変えてもらえる
✅ 車両が故障しても代車がある
✅ 休みを取る事が可能
✅ 歩合制で稼げるものもある
まずは軽貨物配送会社に所属して仕事を通じて学習する事で、その先に繋がります。
必ず仕事がある
いつの時代も運送業は人手不足の業界です。
よって軽貨物配送会社に所属したはいいが、仕事がまわってこないという事は基本的にありません。
又、軽貨物配送会社はビジネスモデル上、所属ドライバーに仕事を投げてそこからのピンハネで成り立っています。
そのため所属ドライバーには常に現場で稼動してもらわないと会社の利益になりません。
軽貨物配送会社では常に所属ドライバーに仕事をまわせる体制が整っていますので、所属したと同時に仕事がもらえる状態にあります。
手ぶらで参入出来る
初めて軽貨物配送の仕事をする場合は、軽貨物配送会社に所属する事を進める一番の理由は軽貨物車両を持っていなくても始められるからです。
ほとんどの軽貨物配送会社は、軽貨物車両を貸してくれます。
よって手ぶらで参入出来ますので、軽貨物配送業を続けられそうか否かを判断した地点で購入を検討する事が出来ます。
一番悪いパターンは軽貨物配送を始める為に軽貨物車両を購入して、実際に始めてみたら続けられそうもない!との結論に達した場合です。
結果的に車だけが残ってしまいます。
確実に軽貨物配送を継続出来る事が前提の人以外は軽貨物車両を購入する前に、軽貨物配送会社に所属してしばらく経験が出来ます。
嫌なら仕事を変えてもらえる
軽貨物配送会社に所属して、与えられた仕事が自分に合わない場合もあります。
仕事は基本的にどこかの物流倉庫に直行して、そこの社員の指示に従うような形になります。
そこで人間関係がうまくいかないケースやその仕事そのものが自分に合わない事も珍しくはありません。
そういう場合は所属会社に相談して仕事を変えてもらう事も出来ます。
最もその所属会社で案件を持っていなければ出来ませんので、所属会社を選ぶ際にはあらかじめその辺を調べておく必要があります。
例えば佐川急便しか扱っていない、ヤマト運輸しか扱っていないなど片寄っている所もありますので要チェックです。
車両が故障しても代車を用意してもらえる
軽貨物配送を継続的に行っているといつかは経験する、配達中の車両の故障です。
当然定期的なメンテナンスをやっていてもあり得ます。
走行不能になると確実に荷主や受取予定のユーザーに迷惑がかかる事になります。
そういう時に軽貨物配送会社に所属しているメリットが大きく出てきます。
黒ナンバーの代車を用意してもらえますので、ダメージを最低限に抑える事が出来ます。
もし軽貨物配送会社に無所属の人ならその日の配達が中断して多大な迷惑をかけるのはもちろん、修理が完了するまで仕事が出来なくなります。
黄色ナンバーの代車では仕事が出来ませんので、黒ナンバーの代車を用意してもらえるのはとてもありがたい事です。
休みを取る事が可能
軽貨物配送会社に所属しないで完全に一人で稼動している場合は予め決まった休み以外、なかなか休むことが出来ません。
それがゆえ風邪などで熱が出ている時でも、無理して稼働している人も珍しくはありません。
その理由は変わりがいないからです。
しかし軽貨物配送会社に所属していると代走者がいますので、万が一の時でも仕事に穴をあける心配はありません。
軽貨物配送会社に所属しているとその様な融通も利くので助かります。
歩合制で稼げるものもある
軽貨物配送会社に所属する行為は初心者にはメリットが多いですが、ベテラン勢も好んで軽貨物配送会社に所属するケースもあります。
それは、個数単価制での歩合制で稼げる環境があるからです。
主に宅配ですがヤマトや佐川、郵政では基本的に1個人と直接契約はしません。
よって個数単価制がメインの宅配で稼ぐ為には、軽貨物配送会社に所属してそこで決めた単価で稼ぐという事になります。
現在ではAmazonのデリプロでも個数単価制をやっている所はなく、すべて日当制ですので月80万とか100万稼ぐのは不可能な数字です。
もはや月80万とか100万稼ぎたい人は軽貨物配送会社に所属して、個数単価制でやるしかありません。
よく求人誌で月100万可能!とか見た事があると思いますが、間違いなくこれらの事です。
そういう金額を稼ぐのはとても大変な事ですが、その気になればその様が舞台が整っているというのもメリットと言えるでしょう。
軽貨物配送会社に所属するデメリット
初めて軽貨物配送の仕事を始める人には軽貨物配送会社に所属する事をおすすめしますが、良いことばかりではなくデメリットもたくさんありますので把握しておきましょう。
主にデメリットはお金に関する事ですが、仕組上しょうがないところです。
✅ 報酬の入金が遅い
✅ 実質はサラリーマンと変わらない
✅ 所属会社が倒産したら無報酬
軽貨物配送会社は星の数ほど存在しており、その中には孫請けの仕事を請け負っている所もあります。
ロイヤリティがかかる
軽貨物配送会社に所属する事で仕事の紹介やフォロー体制が整っておりますが、そこにはコストがかかっております。
会社である以上は利益なしでは運営出来ません。
その利益は所属ドライバーの売上げから徴収するロイヤリティです。
通称ピンハネと呼ばれており所属している以上は徴収されるは当然の事だと思いますが、これがドライバーにとってはかなり重い金額です。
軽貨物配送会社ごとにロイヤリティの金額は違いますが、相場は売上げの10~20%プラス事務手数料10,000~30,000円です。
ザックリで計算して見ればわかりますが仮に月50万の売上げの場合でも10万位引かれて、さらにガソリン代など諸経費がかかりますので大きな負担となります。
しかし所属している限り避けられないものですので、授業料だと思って諦めるしかありません。
報酬の入金が遅い
軽貨物配送会社に所属した場合、報酬の入金がとにかく遅い!
会社によって多少違いはありますが、多くの軽貨物配送会社の支払いサイクルは末締め翌々月末です。
よって、そこまで生活を維持する事が出来るかどうかを考えなければなりません。
貯蓄がない人は参入したくても、これが原因で断念する人もたくさんいます。
最近ではある程度資金力がある軽貨物配送会社は支払いサイクルを早くしている所も出て来ていますが、そういう所はまだまだ少数です。
よって軽貨物配送を始めるにはある程度の蓄えも必要と考えておきましょう。
実質はサラリーマンと変わらない
自由なスタイルで働く事が出来る!と思って軽貨物配送を始める人も多いと思いますが、軽貨物配送会社に所属するとそうはいきません。
配属先に毎日同じ時間に出勤して同じ仕事をして、終わる時間も毎日ほぼ同じです。
ほとんどの仕事は拘束時間があり、サラリーマンみたいなものです。
サラリーマンが嫌で個人事業主になったのにこんなハズじゃなかった!と思うかも知れません。
もっと言えばサラリーマンとの違いは労働時間が長く、雇用保険などの社会保障がありません。
見方を変えれば軽貨物配送会社に所属するイコール、労働基準監督署が関与出来ない派遣会社に所属するのと同じだと言えます。
所属会社が倒産したら無報酬
初心者は軽貨物配送会社に所属することをおすすめしますが、そこにはそれなりのリスクも存在するという事を把握しておいて下さい。
それは軽貨物配送会社はほとんどが零細企業で簡単に潰れる様なところばかりだという事を把握して置きましょう。
時々、こういうツイートも見ます。
市川の某軽貨物委託業者が、ドライバー売上未払いで、社長が飛びました。
— 志チャンネル (@kokorozashich) October 19, 2021
物流事業の闇は、何処に!?犠牲者は常に個人事業主ドライバーです。 pic.twitter.com/0dS0fhObJ1
この様にネット上で話題になるのは希です。
なぜなら軽貨物ドライバーは年配者が多いせいか、情報発信そのものをしないからです。
表に出て来ていないだけで潰れて報酬未払いになって泣き寝入りする被害者は結構います。
私の知っている範囲でも所属会社が潰れて報酬が貰えなかったという人も数人います。
その場合でも雇用ではなく個人事業主のため、労働基準監督署に駆け込んでも何の意味もありません。
軽貨物配送会社の報酬の支払いは末締め翌々月末払いがほとんどなので、倒産したら2か月分踏み倒されるという大ダメージを受けます。
その様なリスクも存在するという事はあらかじめ知っておきましょう。
初心者の軽貨物配送会社の理想的な活用方法
やはり初心者には軽貨物配送会社に所属する事をおすすめしますが、それと同時に永遠にその所属会社に在籍する事はおすすめはしません。
なぜならピンハネにより軽貨物ドライバーとしての収入が安くなるからです。
あくまで軽貨物配送の仕事に慣れるための場所だと考える方が合理的です。
又、軽貨物車両を所有しているか否かで手段が変わってきますので参考にして下さい。
✅ 軽貨物車両を所有していない人
✅ 最低限の準備と例外
但し、宅配系の個数単価制を望む場合は軽貨物配送会社に所属し続ける必要があります。
なぜなら個人で宅配会社と直接契約は基本的に出来ないからです。
特例で直接契約出来ている人もいますがあくまで特例ですので無いものと考えるのが無難です。
実際、宅配系の個数単価制で稼ぐ人は軽貨物配送会社に所属してピンハネされても他の軽貨物配送の仕事より高額報酬になります。
最も仕事のキツさもナンバーワンです。
軽貨物車両を所有している人
軽貨物車両さえあれば辞めてもいつでも配送マッチングアプリなど他でも仕事が出来ます。
軽貨物配送の仕事に慣れるためだけに所属した人は、慣れたタイミングで辞めるだけです。
目安は半年から一年位で十分かと思います。
これで晴れてピンハネから解放されますが、配送マッチングアプリもそれはそれで色々大変な点もあります。
軽貨物配送会社に所属中の休日にでも配送マッチングアプリでの仕事を経験して見て下さい。
数回経験すればおおよその感覚がわかると思いますので判断はその後で!
軽貨物車両を所有していない人
軽貨物車両を所有しておらず所属会社から借りている場合はまず、軽貨物車両を購入してからでないと辞める訳には行きません。
そして購入した後にすぐに辞めない方がいいでしょう。
軽貨物配送会社に所属中に配送マッチングアプリでの仕事を経験するためです。
中には配送マッチングアプリでの仕事が向いていない人もいるらしいです。
数回経験すればおおよその感覚がわかると思いますので判断はその後で!
最低限の準備と例外
軽貨物配送会社を辞めて配送マッチングアプリでの仕事をする場合はそれなりの準備が必要になります。
何といっても軽貨物配送会社の所属ではなくなるため、そのフォローがなくなってすべて自分で解決しなければなりません。
フォローがなくなっても何とかなる最強のアイテムはお金です。
又、例外として辞めない方がいいケースもありますので合わせてご覧ください。
辞める前の最低限の準備
軽貨物配送に限らず何かあった時の最強のアイテムはお金で、お金があればだいたいの事は解決出来ます。
具体的な金額としては50~100万円程です。
何かあった時とは、最も可能性があるのは軽貨物車両が故障した時です。
軽貨物車両は必須の商売道具ですのでそれに備えなければなりません。
最悪の場合は中古で一括で購入出来る位の余力がないと軽貨物ドライバーとして命取りになります。
いざとなったらキャッシングで用意出来る人もいるかもしれませんが、出来る限り現金で余力資金は準備しておきましょう。
辞めない方がいい例
・今の仕事が楽
軽貨物配送会社に所属する理由は経験を積むためと言う考えは間違ってはいません。
しかし経験積んだらさっさと辞めてしまうのが正しい選択とも限りません。
例えばキツくてもいいから宅配系で個数単価制で稼ぎたい!という人もいるハズです。
個人でそういう契約するのは難しいため軽貨物配送会社に所属する事になるでしょう。
その様な人は、軽貨物配送会社によって単価が違いますので単価のいい会社に移籍する事を検討した方がいいでしょう。
又、与えられた仕事が企業配などで楽な場合で報酬にも特に不満が無い場合はむしろ辞めるべきではありません。
軽貨物配送の仕事は基本的に楽なものはあまりありませんので、おいしい場合はそのポジションはキープです。
まとめ
☒軽貨物配送会社に所属するとは?
就職やアルバイトに応募するような感覚で手ぶらで軽貨物配送の仕事を始める事が出来る。
仕組みは芸能事務所のようなもので、仕事はもらえるが手数料(ピンハネ)がある。
☒軽貨物配送会社に所属するメリット
・必ず仕事がある
・手ぶらで参入出来る
・嫌なら仕事を変えてもらえる
・車両が故障しても代車がある
・休みを取る事が可能
・歩合制で稼げるものもある
☒軽貨物配送会社に所属するデメリット
・ロイヤリティがかかる
・報酬の入金が遅い
・実質はサラリーマンと変わらない
・所属会社が倒産したら無報酬
☒初心者の軽貨物配送会社の理想的な活用方法
・ 軽貨物配送の仕事に慣れるためだけに所属した人は、慣れたタイミング半年から一年位でで辞める事で晴れてピンハネから解放される!
・ 宅配系の個数単価制で稼ぎたい!今の仕事が楽!という人は軽貨物配送会社に所属して仕事した方がいい!